ファストフード店員「最低時給」が1800円に!ニューヨークの動きは日本にも及ぶ?

アメリカ・ニューヨーク州の賃金委員会は7月22日、「ファストフード店で働く人たちの最低時給を15ドル(約1850円)にするよう勧告する」と決議した。このことでニューヨーク州では、ファストフード店員の最低賃金引き上げが今後数年かけて段階的に実施される見込みとなった。ニューヨーク州の最低時給は現在8.75ドル(約1080円)で、それと比べて大きな上乗せとなる。

ファストフード賃金委員会メンバーは「ファストフード店員の相当数は、健康的な生活を送るのに十分な賃金を得ていない」と、引き上げ理由を説明した。

同委員会によると、賃金引き上げの対象となるのは、一定規模以上のファストフード店で接客、調理、配達、清掃、メンテナンスなどの業務に従事している人たちだ。ファストフード店とは「食べたり飲んだりする前にお金を払うスタイルの飲食店」と定義され、今回対象となるのは、30店舗以上を展開しているチェーンとされている。

一方、この勧告には反発の声も出ている。ニューヨーク州レストラン協会は「(ファストフードという)飲食産業の一部門だけに、不公平で差別的な賃金増加を押し付けようとしている」「急上昇する労働コストの穴埋めするため、オーナー側に営業時間短縮、解雇やテクノロジー利用を強制する、極端な政策だ」と批判している。

この勧告は、日本にも影響を及ぼすのだろうか。日米の最低賃金問題に詳しい三浦直子弁護士に聞いた。

●アメリカでは「連邦」「州」「自治体」の各段階で最低賃金アップの動き
アメリカでは、ここ数年、最低賃金を引き上げる動きが加速しています。

2011年1月、オバマ大統領が「連邦最低賃金を7.25ドルから10.10ドルにすべきだ」と発言して、議会に働きかけました。

さらに「州」のレベルでも、最低賃金引き上げの動きがあります。現在、約30の州が連邦最低賃金を上回る「州の最低賃金」を定めていて、そのほとんどは、ここ2年くらいの間に引き上げられました。

また、「市」のレベルでも、ここ2年くらいの間に、18の市・郡が、新たに独自の最低賃金を設定するか、段階的に引き上げることを決めています。直近では、本年5月、ロサンゼルス市議会が、最低賃金を2020年までに15ドルに引き上げることを可決しました。

●「ウォール街占拠」など労働運動、市民運動が後押し
背景には、貧富の格差と貧困の拡大、そして、低賃金と劣悪な労働条件で働かされる労動者の増加があります。

ラテール RMT